パンの勉強部屋
 
 栄養素の働き
 
毎日何気なくしている食事ですが、食べた食事の中身(栄養素)を知ることで、からだづくりやパフォーマンスの向上に役立ちます。基本的なことだけ押さえておきましょう
 バランス良く3食をしっかり摂る事が食事の基本です。
必要な栄養素などの量は、競技、年齢、性別、時期で異なり、個人差もあります。
試合中のバテを防いだり、突然の体調不良を防ぎ、選手がベストな体調で、最高の力を発揮できるよう参考にしてください。


 炭水化物
 どんな働きをするの・・・?
からだを動かすための大切なエネルギー源になります。
車に例えればガソリンの役目です。

 どんな物を食べればいい・・・?  主に、お米・パン・麺類・いも類など。 
 炭水化物が不足すると・・・? 
 筋肉を動かすエネルギーが不足します。 筋肉が全く動かなくなることはありませんが、気付かないうちにパフォーマンスが低下したりします。
持久力を使う場面で、スタミナが切れたり、ここ一番の場面でパワーを発揮するタイミングを外したり、微妙にパフォーマンスに影響を及ぼします。
 集中力が保てません! 脳のエネルギー源はブドウ糖(炭水化物・糖分)だけです。ブドウ糖が不足すると、脳の活動に悪影響が出ます。
試合の流れをイメージしたり、瞬発的な判断が遅れたりします。
練習を効果的に行うための集中力が保てなくなります。
スポーツだけでなく、勉強するのにも、脳を活発にするために糖分は必要です。 
 筋肉が分解され、エネルギーに変えられてしまう。 からだを動かすエネルギー源の炭水化物が不足すると、からだは別の栄養素を使ってエネルギーに変えてしまいます。その時に使われるのがタンパク質(筋肉)と脂肪です。
瞬発力を要するスポーツでは筋肉がエネルギー源として分解されてしまいます。練習をしてもからだの締まりの割に成果が上がらない選手の場合は「筋肉痩せ」の状態になっていることが多いようです。
 どれぐらい摂ればいい・・・? 1日に摂取したエネルギー量の60〜70%を炭水化物から摂るのが理想的です。もしくは体重1Kgあたり8〜10gの炭水化物を摂取します。 

 タンパク質
 どんな働きをするの・・・?
体温を上昇させ、血、筋肉などからだを作る栄養素です。運動量基礎代謝を上げ働きもします。
 どんな物を食べればいい・・・?  肉類、卵、牛乳、乳製品、豆類など。 
 タンパク質が不足すると・・・? 
運動やトレーニングをすることは筋肉を破壊していくことです。
この破壊された筋肉が再生するとき、筋肉料が増え、より大きくパワーアップしていきます。この筋肉再生の時に、タンパク質が利用されますが、タンパク質の摂取量が少ないと筋肉が痩せてしまい、練習効果が上がりません。
 どれぐらい摂ればいい? 1日に食べた食物の15〜20%を脂質タンパク質で摂るのが良いでしょう。
一般に体重1Kgあたり0.8gのたんぱく質を摂るのが理想的ですが、筋力トレーニング中のアスリートなどは、体重1Kgに対し、1.5gのタンパク質を摂るのが理想的です。 
 からたで利用されなかったタンパク質は、体脂肪としてからだに蓄えられます。
    筋肉をつけたいからといって、プロテインや肉類の過剰摂取は肥満の原因になります!!

 脂質
 どんな働きをするの・・・?
からだの熱となったり、エネルギーになります。
 どんな物から摂取できる・・・?  食物油、ラード、魚や肉の脂身など。 
 どれくらい摂ればいい・・・?  1日に食べた15〜20%は脂質から摂られるのが理想です。
脂質は1g、9calです。
 脂質はグリセリンと脂肪酸に分解されます。この脂肪酸は酸素に依存したエネルギー代謝(有酸素運動)によってのみ、エネルギーとして利用されます。
使用されない脂肪酸は体脂肪としてからだに貯蔵されます!

 ビタミン
 どんな働きをするの・・・?
からだの調子を整えたり、ストレス、疲労を防止したり、エネルギーを上手く代謝するために必要な栄養素です。
 ビタミン類が不足すると・・・?  ビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン・パテント酸はエネルギー代謝に大きく関係しているので、不足するとスタミナがなくなったり、疲れが取れないといった症状をおこします。
ビタミンC・E・ベータカロチンは活性酸素を除去する役目があります。(活性酸素は運動をすることで発生します。この活性酸素はからだに入った細菌、ウイルスを破壊する役目をしますが、多量に発生すると正常な自分の細胞まで攻撃してしまいます。)
 
 どんなものから摂取できる・・・?  野菜、フルーツを始め、肉類からも得ることができます。スポーツをする人は一般の人よりもエネルギー代謝が盛んなため、ビタミン補給が重要になってきます。。
 どんなビタミンがあるの・・・?
脂溶性ビタミン  
ビタミン
A
 
視覚機能、皮膚と粘膜の形成、維持など 
ビタミン
D
 
歯、骨の成長、形成を助け、カルシウムの吸収を促進させる。 
ビタミン
E
 
赤血球、筋肉を作る。細胞膜の酸化、老化を予防します。持久力の向上と疲労回復に効果。 
ビタミン
K
 
カルシウムを結合し、タンパク質を作ります。血液凝固に利用されます。 
水溶性ビタミン 
ビタミンB1   糖質の代謝を助けます。
ビタミン
B2
  
成長促進と脂肪の代謝を助けます。 
ナイアシン   細胞内でエネルギー生産に関わります。 
ビタミン
B6
  
タンパク質の吸収と、アミノ酸エネルギーたいしゃを助けます。赤血球の形成を助けます。 
ビタミン
B12
  
核酸の合成と赤血球の形成を助けます。 
葉酸  核酸とタンパク質合成の補酵素になります。 
ビオチ  脂肪酸の合成と、グリコーゲン合成の補酵素になります。 
コリン   神経伝達アセチルコリンの材料となります。 
ビタミン
C
骨、毛細血管、歯の細胞、筋肉を維持強化し、ストレスや活性酸素などに対して効果があります。 
 
ビタミン摂取のポイントは・・・?  ビタミンB群、ナイアシンはエネルギー代謝に大きく関係しているので、スポーツ選手は意識してしっかり摂取しましょう。
脂溶性ビタミンはからだに蓄えられやすいので1日の上限値が決まっており、水溶性ビタミンはからだに蓄積しにくいので毎日摂る必要がある栄養素です。
最近は多くの種類のサプリメントが売られていますが、ビタミンCや葉酸など単独で摂取しても効果がありません。バランス良く毎日摂取することが大切です。
スポーツゼリーなど必ずビタミンなどが含まれているので、エネルギー補給と同時に摂取できるので利用してみてください。
 

 ミネラル 
 ミネラルはビタミンと同じく、色々な化学反応を助けます。からだの調子を整え、血液や骨などを作る材料になります。
 どんなミネラルが有るの・・・?
カルシウム  骨や歯を作るほか、循環器系のコントロールや、筋肉の収縮、弛緩に関係しています。
神経伝達にも関係しているので、パフォーマンスに大きく影響を与えるミネラルと言えます。 
過剰摂取は便秘や亜鉛の吸収を阻害します。
  血液中のヘモグロビン、筋肉中のミオグロビンの原料であり、エネルギーの生産過程で重要なチロクロームの成分でもあります。
不足すると貧血になったり、疲れやすくなります。
幼児期に不足すると発育が遅れるとも言われています。
亜鉛  免疫力・精力・インシュリンなどのホルモンにも関係しています。
不足すると味覚障害をおこします。
ナトリウム  筋肉の収縮弛緩に関係しています。
足がつる人などは、過度な運動によりその部分のナトリウムが不足し、筋肉が収縮したままになって起こる症状です。
ナトリウムに関しては、現在の日本人の食生活ではほとんど不足することはありません。
 
セレン  抗酸化作用 
マグネシウム  カルシウムと協働してエネルギーを作り出します。 
カリウム  疲労回復効果
 
 ミネラル摂取のポイントは・・・? 鉄は一般の人で1mg、月経時の女性で20mg失われます。スポーツ選手は一般より多く鉄を失い、一般の必要量12mgに対し、スポーツ選手は30〜40mg必要になります。
肉などに含まれるヘム鉄は吸収率が高く、ホウレンソウなどに含まれる非ヘム鉄は吸収率が低いので、ビタミンCと同時に摂ると吸収率が上がります。